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コミーのFFミラー

Vol.007 | 16.08.22 | 社会課題解決

世界の航空会社が認めた「気くばりミラー」の物語



 埼玉県川口市の小さな企業が作った鏡が、世界の航空会社に採用され、ボーイングやエアバスの機体に設置されている。その誕生に秘められた物語に迫る。

ユーザーの予期せぬ使い方にヒントを得る

 1967年創業のコミーは、当初は看板業を営んでいた。その後、回転看板用の「回転装置」もつくりはじめる。1977年、凸面鏡を2枚貼り合わせ、内部の小型モーターで回転する鏡をある展示会に出してみたところ、一度に30個を注文してきた店があった。納品後しばらくして、「一体何に使っているのだろう」と不思議に思った小宮山栄社長が、その店を訪問してみたところ、「万引き防止に大変役立っている」という意外な回答を聞く。この鏡を使えば「売り場の死角になっている場所で、怪しい動きをしている万引き犯を離れたところから監視できる」というのだ。
 この鏡(回転ミラックス)は評判となり、防犯ミラーとして大ヒットする。これがきっかけとなり、コミーは看板業から撤退し、ミラーメーカーへ。そんな中、「ミラーが防犯だけでなく、サービス向上につながる」という声も聞こえてきた。「店内のお客様の行動に目が行き届くようになるので、きめ細かい接客ができる」という。またもユーザー側の意外な活用法に驚かされたコミー。「気くばりミラー」のメーカーとしてユーザーの声に耳を傾けることを第一に、さらなる新製品の研究開発に取り組んでいくことになる。


小宮山 栄 社長

幅広い分野で使われる「FFミラー」

 1988年、コミーが開発に成功した「FFミラー」は、フラットながら凸面鏡と同じように広い視野を持つ樹脂性の鏡。軽量で割れにくく、両面テープで簡単に貼り付けることが可能。FFミラーとはFantastic Flat Mirrorの略である。
 FFミラーは防犯、安全対策など幅広い使い方ができる気くばりミラーとして、広く普及。今やコミーの主力製品となっていて、使われる場所に応じてラインアップも拡充されている。
 注意深く見れば、日常生活のあちこちでFFミラーを目にすることができる。例えば公共施設、学校、病院、オフィス、駅、エレベータ、駐車場などで、衝突防止に役立てられている他、銀行やコンビニのATMには暗証番号の覗き見・盗み見防止用に設置されている。
 また、旅客機の手荷物入れ用のFFミラーは、ボーイング社やエアバス社等の航空機メーカーの信頼を得て累計出荷枚数が30万枚を突破。世界の100以上の航空会社が採用しており、乗客の忘れ物防止やCA(キャビンアテンダント)によるセキュリティチェックに活用されている。CAからは「乗客が降りた後の手荷物入れの確認時間が大幅に短縮された」と、高い評価がコミーに寄せられている。 



ユーザーの声に耳を傾ける大切さ

 現在、この市場で競合する企業はほとんどない状態だが、だからこそ「自社のブランド力を高める必要がある」と小宮山社長は言う。将来に渡って製品を安定供給できる態勢を維持すること、基礎技術力を高める努力など、やるべき課題は多い。
 もちろん重視するのは、現場でFFミラーを使うユーザーの生の声である。納品先のフォローを可能な限り行い、製品がどのように使われているかを聞き取り調査していく。製品へのクレームはほとんど無いが、もしコミー側が想定していなかった事例があれば、すぐに開発や生産現場にフィードバックされ、対策と改良が行われる。こうした試みで得られた膨大なノウハウこそがコミーの強さであり、仮に他社が参入してきたとしても、容易に追いつくことはできないだろう。
 ユーザーの声から新価値創造へのヒントをつかみ、着実に成長してきたコミーの物語は、これからも続いていく。



コミー株式会社 ホームページ
http://www.komy.jp/
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