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日経印刷の「グラフィックガーデン」

Vol.009 | 16.09.16 | ものづくり

最新のデジタル技術で紙の可能性を追求する印刷会社

情報のデジタル化が急速に進む中、デジタルでは代替できない紙の印刷物が持つ表現力に注目し、その可能性を追求する印刷会社の試み。

顧客ニーズにトータルに対応する中堅印刷会社

日経印刷株式会社は、1964年10月10日(東京オリンピックの開会式の日)に設立。証券会社に勤めていた林吉男氏(代表取締役会長)が印刷業に転じ、書籍や教材、マニュアルなど、モノクロ印刷に特化して技術とノウハウを蓄積していった。印刷技術におけるデジタル革命であるCTP(Computer To Plate)の登場を機に、カラー印刷事業にも参入。その後、クリエイティブ室も設立し、顧客ニーズにトータルに対応できる総合印刷会社へと成長した。近年は「白書」の受注を強化し、制作した白書の出版事業も行っている。


ワンストップ生産拠点「グラフィックガーデン」

2008年に日経印刷が新たな拠点として板橋区舟渡に建設した「グラフィックガーデン」は、企画制作から印刷製本、そして発送機能までを一カ所に集約した生産拠点。アクセスの良い東京23区内の立地にこだわって用地を確保し、コンセプトデザインを大阪万博のエキスポタワーや江戸東京博物館を設計した菊竹清訓氏に依頼した。グラフィックガーデンという名称には、広義の印刷を意味する「グラフィック」を志した人々がこの場所に集い、互いに技術を磨くことで、広く社会に貢献してほしいという願いが込められている。ビルの4階には制作・製版部門、3階には印刷部門、2階には製本加工部門、そして1階には仕分梱包・発送部門が置かれ、顧客からのニーズにワンストップで応えられる体制を構築した。

情報セキュリティ面では、ISO27001(ISMS認証)を取得し、国家試験の試験問題を印刷することも可能。環境面では、独自のリサイクル体制による廃棄物の大幅削減や省エネルギーを実現したり、グリーンプリンティング認定を取得したりしたことで、2012年の第11回印刷産業環境優良工場表彰(日本印刷産業連合会)で、経済産業大臣賞を受賞している。

またグラフィックガーデンの見学会も実施し、顧客や一般向けに同社の実績や取り組みをアピール。その他、企業の販売促進部門やマーケティング部門を対象としたオープンセミナーを実施するなど、グラフィックガーデンは同社の戦略的営業展開の一翼を担う存在となっている。

印刷ニーズの変化に柔軟に対応するために、新しい設備への投資にも積極的で、2015年6月には、ミューラー・マルティニ社(スイス)の全自動無線綴じ機「アレグロ」を日本で初めて導入している。




紙の印刷物の可能性を追求する「G-LABO」

インターネットの普及やデジタル技術の発展により、紙の印刷物へのニーズが少なくなっているのは否定できない。雑誌、辞書、地図、マニュアルなど情報を得るための紙メディアはデジタルメディアに取って代わられつつある。しかし、モノとしての存在感や質感は、デジタルでは決して代替できない紙の印刷物だけが持つ強みである。「紙への表現が当社のコア(主事業)であり、これからもその表現の自由度を極めていく」と、吉村和敏氏(代表取締役社長)は言う。

日経印刷では2016年の8月、グラフィックガーデンの1階に新たな施設「G-LABO(Graphic Garden Digital Printing Laboratory)をオープンした。ここはものづくり拠点兼サロンスペースと位置付けられ、クリエイターが持ち込んだデータをオンデマンド印刷機でその場で出力でき、色表現を検討しながらサンプル作成が容易に行える。豊富な見本用紙も常備されていて、紙の印刷物でしかできない表現の可能性を追求しようとするクリエイターやデザイナーたちの交流の場となることが期待されている。


吉村和敏 代表取締役社長 G-LABOにて

日経印刷株式会社 ホームページ
http://www.nik-prt.co.jp/
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