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ウォータージェット加工事例(CFRP)

Vol.022 | 17.01.20 | ものづくり

ウォータージェット加工のパイオニア企業

プリント基板用金型事業からウォータージェット加工事業への転換に成功した多摩地域のものづくり企業の軌跡。

超高圧高速水で素材を切断するウォータージェット加工

株式会社米山製作所はウォータージェット加工の受託を専門に行う企業。ウォータージェット加工は水道水をミクロンフィルターで濾過した後に専用の高圧ポンプで320MPa程度に加圧した水流に研磨剤を混合させ、マッハ2~3程度の速度で噴出することで素材のカットを行うシステムである。加工に用いる高圧水流の太さはφ0.9~1.2mm前後で、金属だけでなくプラスチック、ガラス、セラミックス、スポンジ、ゲル、木材、石材、天然素材などにも対応可能だ。他の加工方法と比べてウォータージェットのメリットと言われているのが、加工時に素材に対する熱影響やストレスが少なく、素材の改質や変質、機能へのダメージを与えないことで、有毒ガスや新たな化合物も発生しない。そのため加工した後に素材に歪みなどが生じず、複合材や積層材、柔らかな素材や薄い素材、脆弱材の加工に向いている。

東京都西多摩郡瑞穂町にある同社の工場では、全国から持ち込まれる様々なウォータージェット加工の依頼に丁寧に対応している。大手メーカーからの部品加工をはじめ、試作サンプル用の加工、研究機関からの問い合わせの他、アーティストが自分の作品で使う素材の加工を依頼してくるケースもあるという。代表取締役の米山俊臣氏は「ウォータージェット加工に関することなら、まずは弊社に相談してほしい」と語る。


ウォータージェット加工機


プリント基板用金型事業からの事業転換に成功

米山製作所の創業は1975年。俊臣氏の父親の米山堅持氏(現相談役)が自宅の軒先を改築してプリント基板用金型の設計、製作を開始したことに始まる。当時は大手メーカーからの受注が途切れることはなく、業績は順調に伸びていった。しかし1985年のプラザ合意以降の円高によって、日本の製造業は安い労働力を求めて工場を海外に移転するようになる。商工会を通じて受けた企業診断で「近い将来、金型の仕事は全て海外に行ってしまう」と言われた堅持氏は、金型に変わる新しい事業を模索し始めた。

そこで出会ったのがウォータージェット加工であり、米山製作所は1990年に1億円の加工機を導入する。まだインターネットも普及していない時代、展示会などを通じてウォータージェット加工の利点をアピールしつつ、ニーズについて情報収集にも取り組んだ。その間、金型事業の売上は次第に減っていき、1993年にはウォータージェット加工が同社の主力事業へと成長。そして1996年からはウォータージェット加工受託専門となっている。


米山製作所本社


他社にない加工ノウハウの蓄積を活かし、ものづくりに貢献

米山製作所が本社を置く多摩地域はものづくりに関わる中小企業が数多く存在するエリアとして知られている。バブル崩壊やグローバル化の波を乗り越え、事業継続に成功しているのは、大手の下請けを脱して、自社のオンリーワン技術を軸とした提案型企業に転身できたところが多い。

「多摩地域にある優れた企業とのネットワークを活かし、日本だけでなく世界のものづくりに貢献していきたいですね」と俊臣氏は語る。

現在同社は約600社の顧客を持ち、自社で作成したiPadで操作できるデータベースシステムによって受注から納品までを一元管理するとともに、個々の作業内容や加工時の注意点などを全従業員が共有できるようになっている。

「他社でもウォータージェット加工に参入しているところはありますが、どんな素材にも対応でき、うまく加工するためのノウハウを蓄積しているのは弊社だけだと思います。加えて加工技術や素材そのものの研究にも努め、技術力を高めています」


米山俊臣 代表取締役社長


株式会社米山製作所 ホームページ
http://www.yoneyama.co.jp/
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